「平等について、いま話したいこと」
昨日、マイケル・サンデルとトマ・ピケティの対談本『平等について、いま話したいこと』を読み終わりました。
NHKの「白熱教室」のマイケル・サンデルと、『21世紀の資本』のピケティが、これから先の世界観を提示してくれるのかも?手に取りました。
しかし、対談形式なことと、文字が大きいことから、読み始める前は「内容が薄いのでは?」と感じていました。しかし、実際に読み始めてみると、通常のスタイルだと理解が厳しいかもという内容が、対談形式で大きめの文字だからなんとか頭に入っていきました。
中盤から深まる能力主義への問い
本書の中盤、第5章あたりでの“能力主義” はすごく興味惹かれる内容でした。
私の中では、「能力のある人がより稼ぐのは当然」「努力して能力を磨いてきた人が評価されるのは当たり前」と感じていました。
しかし、ハーバード大学のような有名校には富裕層や知的層の子どもが圧倒的に多く、貧困層やマイノリティは非常に少ないという事実を考えると、それは本当に平等なのか、と言われると平等ではなく感じます。
さらに印象的だったのは、大学や教育というものが「財(共通財?)」だという考え方です。財である以上、限られた人だけが享受するのではなく、できるだけ平等に開かれたものにしていくべきではないか。たとえば一定の学力が認められた人から「くじ引き」で最終的な合否を決める方法もアリなのでは、という案も驚きつつ、納得感を感じました。
政治の場における能力主義の偏り
もう一つ面白かったのが政治や選挙についての議論です。
日本でも国政選挙や地方選挙で当選するのは、いわゆる “いい大学を出て”、“有名な会社や省庁で働いていた”、“弁護士などの資格者” といった肩書きの人が多い。そうなると政治も能力主義によって偏ってしまう。ここでも、くじ引きによる選出で偏りを無くすという案が出ていました。
特に興味深かったのは、インドでマイノリティの候補者を取り入れる仕組みとして、選挙区をランダムに選び、選ばれた選挙区は必ずマイノリティを公認しなければならない制度がある(※)という話。各政党が「どうせ落ちる選挙区にマイノリティを押し込む」形だけではない、公平さを一定程度担保しようという試みが実施されていることに驚きました。
しかも、あんなに人口が多くて選挙も大変だろうインドでです。
職業訓練校などへの投資と平等
また、アメリカでは、有名大学には莫大な資金が投入されている一方、学力が高くない人が通う職業訓練校などにはあまり資金が回ってこないという問題も指摘されていました。
国力や経済力を高めるためにはエリートを育成すべき、という考え方は理解できますが、それだけでは社会全体の平等や多様性が損なわれる可能性があります。ここでもやはり、教育というものをどう “財” として扱うかが大きなテーマになるのだなと感じました。
グローバルに考える理想と現実
本書ではさらに視点を広げ、地球全体で平等を考える必要性にも言及しています。
南北問題や気候変動など、国境を越えた課題が山積みする中で、世界的な政治組織や制度づくりが理想だというのは確かにその通りだと思います。ただ、私自身はまだ知識や理解が追いつかず、「そこまで一気に進めるのは難しいのではないか」というもどかしさも正直感じました。ここはもう一度読み返して考えたいところです。
読んでいる途中までは「サクッと読んで、メルカリで売ってしまおうかな」なんて思うくらい前半は二人の会話に入っていけませんでした。しかし、中盤から後半にかけて、能力主義というテーマが出てきてからは、かなり惹き込まれていきました。
そして、まだ理解しきれていないところもあるので、メルカリには出品せず(いまだとほぼ定価に近い金額で売れるみたいなのですが)、手元に置いて読み返してみようと考えています。
この本を読まれた方と感想の共有など、お話しできればなと思います。
生成AIでアウトプット不足を解消できるかも
実はこの文章、自分自身の感想をChatGPTにボイスで話しかけ、ブログ用に文章を作成してもらっています。
とはいえ、そのままでは自分の言葉になっていないので、だいぶ手直ししました。
私は本を読んだり、ポッドキャストを聞いたり、イベントに参加したりと、インプットはかなりしているつもりなのですが、アウトプットがぜんぜんできていませんでした。
本を読んでもブクログに数行の短文を残す程度でした。
しかし、感想を自分用も含めて、残しておきたいなと思っていました。
そこで、生成AIです。
そう、自分自身の感想を頭の中で考え、ボイスで話してみて、AIがまとめてくれたテキストに修正を入れる。
これだと、30分程度で作成できそうです。慣れるともっと早くなれそうだし。
さらに、ここで作成されたテキストから、SNS用に短くしてもらったり、Twitter用に短文にしてもらうことも簡単にできました。
これはかなり楽。
ということで、こちらにも書籍やポッドキャスト、イベントの感想を更新していこうかと思います。