変化を感じたリテールテックJAPAN2024

先週の3月15日(金)にリテールテックJAPANに行ってきました。リテールテックにはかなり前から何度も(たぶん10年ぐらい?)参加していますが、今年のリテールテックはかなり変化した印象がありました。ここでは、私が見た出展内容の中で特に印象に残ったものを紹介します。 

小売業自体のDX的なテーマが増えた 

これまでのリテールテックでの出展内容はEC化やオムニチャネル、O2O的な販促ソリューションが多かったと思います。
しかし、今回のリテールテックでは小売業自体のDX的なテーマが増えていたと思います。例えば、店舗のレイアウトやディスプレイを最適化するためのデータ分析やシミュレーション、店舗の在庫管理や発注を自動化するためのシステム、店舗の人員配置や効率化を支援するソリューションなどがありました。
ECサイトのようにリアル店舗のさまざまなデータを可視化・活用したり、省人化や業務効率化に対応するソリューションが多く感じました。 

サービスベンダー以外の出展があった 

従来のリテールテックでは、サービスやソリューションを小売業に売り込むベンダー企業の出展が主でしたが、今回は小売業のイオン、デリバリー業のUberEATSが出展していたこともこれまでにはなかったことだと思います。
イオンの展示は参考出展的な形で、グループ企業のU.S.M.H.のignica以外はサービス展開はしておらず、自社のデジタル戦略やオムニチャネル化の取り組みを紹介にとどまっていた。また、UberEATSは飲食店や小売店との提携やデリバリーの効率化について説明していました。これらの出展は、他小売業との提携を拡げたいイオンやUberの思いを感じました。 

小売企業の出展はこれまで見られなかったと思う

Uberの出展はネットスーパーの代替を狙うのか?

AIを活用したサービスが増えている 

昨今の展示会ではどこでもAIが注目されていますが、リテールテックでもAIを活用したサービスが増えていることも印象的でした。そして、他の展示会ではAI研修やAIチャット、個社向けカスタマイズなど、デスクトップ業務でのAIサービスが多かったのですが、リテールテックではAIの現場活用サービスが多かったです。
NECでは店内カメラ映像をLLMでテキスト化し、いわば店舗の一日を議事録化し、要点化し、トピックス映像を振り返ることができるサービスを紹介していました。このサービスを活用すれば、POSや来店カウンターなどからの定量データに加えて店内映像のテキスト化による定性データを組み合わせた分析も可能になるかもしれません。
ソフトバンクブースでの出展者のbuddy.comではマニュアルをAIに読み込ませることで、店舗スタッフがボイスでAIを操作し、顧客の質問に答えられるようにしていました。これらのサービスは、店舗の運営や顧客対応においてAIが有効なツールになり、省人化や効率化につながるように思いました。 

店内カメラ映像をLLMが議事録化

店舗スタッフの質問に、マニュアルデータを読み込んだAIが回答

商品と棚札の一致状況、商品切れ状況をチェック

電子棚札の普及が店舗運営や店頭販促を変える

以前から電子棚札や電子ペーパーの出展はありましたが、今回は電子棚札の出展がより増えていたように感じました。
おそらく、数年のうちに大手店舗の棚札はPOSとも連動する形で電子化し、ダイナミックプライシングはより一般的になるのだと思います。電子棚札は、価格や在庫情報をリアルタイムに更新できるだけでなく、顧客に対してQRコードやNFCなどで情報提供やクーポン配信などもできるというメリットがあります。電子棚札の普及は省人化や業務効率化だけでなく、店頭販促の新しい形も生み出しそうです。 

フランスの電子棚札大手である VusionGroup も出展

もちろん国内企業も何社かが電子棚札を出展していた

店舗向け決済サービスが当たり前化しそう

最近ではリアル店舗でも現金決済は減ってきていて、クレジットカード、QRコード決済が増えていると思います。
さらに、インバウンド需要で海外顧客が増えたことで、アリPayなど他国の決済を利用可能な店舗も増えています。
大手店舗での多種多様な(何種類あるんでしょうね?)の決済手法に対応することは困難になりつつあると思いますが、これらを個店対応することはほぼ不可能だと思います。
そんな中で決済システムの導入や機器端末の保守なども含めた決済一括対応的なサービスもいくつか目にしました。
お話を聞いた会社の中には、「ECの決済代行をやってました」という企業もあり、ここでもECサイトサービスのリアル店舗導入となっているのだと思います。

以上、私がリテールテックJAPANに参加して感じたことです。
日本の小売業では人手不足がさらに深刻化していくでしょうし、インバウンド需要などによる新たな課題も出てくると思います。
そんな中でAIを始めとするDXサービスは救世主的な存在になると思います。
各小売業では自社の課題とこれからの状況を踏まえた上で、どのサービスを導入し、どのように活用していくのかが各小売業の将来を左右することになると思います。
そして、自社だけではサービス導入が難しい小規模の小売業の合併や吸収などもさらに増えていくんじゃないかと思いました。
リテールテックJAPAの詳細はこちらをご参考ください。
※紹介記事などを見つけたら、コメント欄に貼っていこうと思います。

因みに、本投稿を作成にあたって、生成AIを使ってみましたが、たぶん20%程度の使用感です。

変化を感じたリテールテックJAPAN2024” に対して2件のコメントがあります。

  1. kamitani より:

    店舗のIT活用は当たり前、広がる用途と機能–「リテールテックJAPAN」
    https://japan.zdnet.com/article/35216407/

  2. kamitani より:

    リテールテックJAPAN 2024 会場レポート
    〜生成AIは店舗運営をどう変えるのか?〜
    https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202403/retail-tech-japan-2024/

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